KURO MOI SPECIAL

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このサイトはゴルフトゥデイ主催アイアンマンカップに出場し続ける
アイアンマンレジェンドこと「KURO」さんのクラブに対するこだわり
そして商売抜きのクラフトマンシップを少しでの多くの人に知っていただくために
2010年夏ロングアイアニスト協会掲示板にて「KURO」さん独自の
慣性モーメントマッチングを取り入れたクラブの組み立ての一部始終を
アップされた物を記録した物です。沢山の方の意見が交換されていますが
ここではプライベートの問題もありますので、僕とKUROさんのやりとりを抜粋して
記録したいと思います。

リシャフト(KURO)

YASOさんからウェッジ3本のリシャフトを頼まれました。KUROイズムの注入も。
ロングアイアンじゃないけど作業は同じなのでツラツラとアップして行きますね。
依頼品はダンロップ青木功モデルの
PW(カーボン)とSW(DGR400)にTad Moreの53゜(DGS300)です。
これにN.S.PRO WV115を挿してクラブMOIで管理してみよう作戦です。

現状スペックはこちら。
PW ロフト49.2゜ライ60.5゜ 35.95inch 443.2g D0.5 333cpm 2629kg-cm2

TM53 ロフト52.5゜ライ63゜ 35.35inch 476.2g D3.5 357cpm 2688kg-cm2

SW ロフト57゜ライ63.3゜ 35.39inch 465.1g D1 336cpm 2636kg-cm2


クラブ重量はシャフトの違いはあるにせよMOIはそれなりですから何とか打てるかな?
でも気持ち悪そうです。
クラブ慣性モーメントの測定はこちら。
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リシャフト(KURO)

バット側の特性しか見れないけど振動数測定はこちら。

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リシャフト(KURO)

前述の現状測定をしたら、バラシに入ります。

まずはグリップ外し。
傷んでいないからリサイクルします。
グリップエンド穴を木ネジで塞ぎ、尖端を幅広ゴムで縛り、
スプレー式溶剤を注射針で液体と共にガスも注入し
グリップを膨らませながら下巻きの両面テープと剥離させたら、
ゴムを緩め一気に抜きます。

残念ながら注射針が現在入手困難です。うちもストックのみ、、、
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リシャフト(KURO)

次はソケット外し。
意外に手強いのでソケットカッターの六角レンチを延長して
慎重にジリジリと刃を差し込んで縦に割ります。
慣性モーメント計は最近は組み立ての基本ツールなのでこれが無いと仕事になりません。
なので予備も買いました。
ちなみにキャスコの開発にも買って貰い、情報交換しています。

でも業界人では無いです(^o^)
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リシャフト(KURO)

ソケットを外したら次はシャフト抜きです。
シャフト抜きに取り付けてバネで引っ張りテンションかけてネック部を
ガストーチでまんべんに一部高めに素早く加熱し接着剤を軟化させて抜きます。
シャフトに熱を如何に伝えずに抜くかが腕の見せ処です(^o^)
私はエポキシ系接着剤を加熱硬化させる方が好き。
でも時代は変性アクリル系かな?
ガラス転移点が高くて、バン!って一気に破壊するから嫌いだけど、、、
頻繁にリシャフトしない人向けかな?
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リシャフト(KURO)

Tad More 君はホーゼル部に穴があります。
これは接着剤の性能が怪しい時代に抜け止めのピンが刺さってます(;_;)
これはシャフト抜き機ではウンスンなのでガスコンロでまず加熱してみました。
接着剤がブチブチ燃えるものの動きなし。ピンを打ち込んでみても動き無し。
こりゃ重りを兼ねた金属粉と接着剤で埋まっていると判断しシャフト切って内部確認しました。
予想通り! 金属粉と接着剤を除去してピンを抜きました。
加熱したリムロッド突っ込むテクニックもあったけど、シャフト捨ててもまぁいいっか?

で、明日に続く。
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リシャフト(KURO)

>ぴすけ さん
どうもどうもです。 2年ちょい前位ですかね?台湾メーカーが$1000で発売したんですよ。
それを導入して2年。自分と20人の実験台?
で200本以上作ってみた所バランス、0.5inch 刻みを放棄すれば現状の
部品重量ピッチでもかなり統一感のあるクラブが造れる事が解りました。
また、各人の固有MOIに合わせる事で調整の時間が短縮出来る事も。
何振っても同じタイミングで戻ってくるクラブは楽ですよ(^o^)

やっと(;_;)(KURO)

ドリル2本、回転砥石2本、超硬エンドミル1本の犠牲を払い、
残っていたシャフト先端部がやっと抜けました(^o^)

うーん、、、手強かったな。
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ヘッド3個(KURO)

とりあえず、重量測定。

PW 291.1g
53゜293.7g
SW 288.4g

流石! 「バンカーもグリーンのうち」
とバルタスロールでの全米オープンでバンカーに
狙って打っていた青木功プロ監修のサンドウェッジ。
当時はバランスC8とか聞いていましたが通常より12gも軽いヘッドで
自由自在に扱っていたんですね(^o^)

こんな人間味溢れる拘りが見つかるから昔のクラブは堪らないですね!
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リシャフト(YASO)

KUROさん

我が右腕達の変貌ぶりにドキドキワクワクしながら拝見しております。
しかし、犠牲が凄い。。。ほんと恐縮しきりです。
(請求書が怖い。。。爆)
ほんと、サンドの重量びっくりですね。
KUROさんは僕の砂場でのプレーをご存知だとは思いますが
実際僕もサンドに関しては、断然軽い方が良いですね。
重さでドンと出すよりも、体の回転とスピードで砂をすくうには
軽いバランスの方が断然コントロールしやすいです。
これから先も楽しみにしております。

皆さんも是非クラブのチューニングに挑戦してください。
僕達のすぐ側にこんなに素晴らしいクラフトマンが居ますよ!
クラブが合わないからと直ぐに買い替える前に
まず自分にあったスペックを見つけて、その仕様にして
そこで本当に合う合わないが分かる気がします。
絶対的に信頼できるスペック、そしてそのスペックに
クラブを調整する。後は迷いなくボールを打つだけです。
クラブで言い訳しなくなる分上達にも役立ちますよ!

SW(KURO)

YASOさん どうもです(^o^)
刃物類は消耗品なので請求はしませんからご安心下さい。

むしろ軽めで振り抜くのが好きという情報でよりイメージが鮮明になりました。
出掛けにシャフトが届きました。今夜はシャフトの測定です(^o^)

お掃除(KURO)

バラシたヘッドは接着に備えてホーゼル内の付着している接着剤のカス等を除去します。

国産ヘッドには螺旋状の溝が切ってるモノがあります。
今回の青木功モデルがまさにそう! こんなオリジナル工具とブラシでゴシゴシ綺麗にします。
根拠の要る作業ですね(^o^)
仕上げはアルコールを含ませた綿棒で脱脂します。

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リシャフト(YASO)

いや〜〜リシャフトって
こんなに大変だとは。。。。
KUROさん本当にありがとうございます。
普通の工房でもみんなこんな風にしてるんですかね〜?

メッキ剥がし(KURO)

スチールシャフトにはメッキがかかっています。
ヘッドとの接着部には邪魔なのでメッキを剥がします。
私はドレメルの回転砥石No409を使います。
ソケットカッターで切り、余ったウッドソケットを
ストッパーとして差し込みます。火花が出る頃合いまで
リズム良く上下動と回転を組み合わせて剥がして行きます。
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メッキ剥がし完了(KURO)

ヘッドに借り組みしながら挿し込み長さを確認しながらホーゼル端から
マイナス4mm位までメッキを剥がします。
テーパーシャフトの場合はヘッドとのアタリを取りながら
メッキを剥がしたり、ホーゼル内を削ったりしてしっくり来れば完成。

>YASOさん 基本作業は一緒ですが、精度か生産性か利益追求か?で変わると思います。
私の場合は納得行く方法で妥協しませんから大変に見えるかも知れませんね。
なので、いつも通りです(^o^)
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ソケット打ち込み(KURO)

ホーゼル内へのシャフト挿し込み長さが決まったらソケットを打ち込みます。

ホーゼル外径より片側で0.2mm程度大きいソケットを選ぶのですが余り
マージンをみると仕上げがしんどくなります。が、段差無く美しく作るには仕方ない所。
金属パイプを0.5〜1mmピッチでカット。15゜の面取りをしておき、
挿し込み長さに合わせて選択しプラスチックハンマーで打ち込みます。
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ソケット打ち込み完了(KURO)

ソケットを打ち込み終えたら、緩み止め兼ねてソケットとシャフトの間に
低粘度の瞬間接着剤を流し込んでおきます。

annaさん どうもです。
クラブってヘッド、ソケット、シャフト、グリップの4部品を接着するだけなんですが、
そこまでの測定や段取りが重要です。
まだまだ続くのでお付き合い下さい。
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リシャフト(YASO)

全てのクラブを同じタイミングで振れるって
凄く重要です。ここがバシッと決まってると
ロングアンアンだからこう打つとか無く、
ショートアイアンや得意な番手のアイアンと同じイメージで打てますもんね〜!
僕はブレードが短く、慣性モーメント少なめ、
アップライト気味のクラブが好きなんですが、
これもパーシモンの流れからするととても自然なんです。
ドライバーやウッド系で打ち方変える必要なく、
常に同じテンポ、イメージで扱えるクラブが理想です。
今回の作業が完了したら、アイアンセット、そしてウッド類と
順番にお願いして、全てのクラブのマッチングを
整えていただこうと思っておりますので
どうぞ、よろしくお願いいたしますです。
この続きも楽しみにしております!

リシャフト(YASO)

>今回の作業が完了したら、アイアンセット、そしてウッド類と
>順番にお願いして、全てのクラブのマッチングを
>整えていただこうと思っておりますので
>どうぞ、よろしくお願いいたしますです。

了解しております。

クラブMOIマッチングの世界を堪能してくださいね。
加藤プロとタッグ組むとクラブとスイングが融合された理想的の道場になりますね(^o^)

よろしくお願いします。

狙い値設定(KURO)

ここからは本邦初公開の内容です。

YASOさんからのオーダーはアップライトが好き、
Tad Moreはもう少し軽く、SWは軽いヘッドを生かしたいとの事。
これをN.S.PRO WV115 でどう具現化するか?

MOIを軸に考えて行きます。
まずPW から。オリジナルがカーボン92.2gですから
WV115のカット後重量予測109gを考えると約+30kg-cm2。
6.8kg-cm2/mm で減らせるから2620kg-cm2 なら39/6.8=5.7mmカット。
35.6inch前後になると予想。
これでOK(^O^)


続いてTad More 53゜DG300が118g WV115との差分は9g -15kg-cm2として
50kg-cm2は長さで調整する事に。
7.4mm 約0.3inchカット。
アップライト希望なのでこの線で行く。


SWはDGR400から-13kg-cm2減。
2580kg-cm2狙いなら50/6.8=7.3mmカットか?

と、3本共重り投入等の小細工無しに組み立てからのバットカット調整で何とかなりそう(^-^)

で、接着工程に入ります。
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接着行程1(KURO)

エポキシ系接着剤は鉄板の上にPPテープを貼った上で加熱しながら丹念にまぜます。
最近はこの黒い米国製品を愛用しています。
低粘度なのとソケットと同化する黒い色がナイスです。
ホーゼル、ソケットともセロテープでマスキングしておきます。
ホーゼル内部壁に接着剤をぐるりと塗り、シャフト部にも塗ります。
今回はガタが無いので使いませんが、ガラスビーズでガタ吸収する事もあります。
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接着行程2(KURO)

シャフトをホーゼル内にしっかり挿し込み気泡を出したらスパインを合わせて、
繋ぎ部をセロテープでぐるりと巻きます。
これらセロテープは後ほど役に立ちます(^o^)
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接着行程3(KURO)

エポキシ接着剤は熱硬化樹脂ですから、しっかりと加熱します。
発泡スチロールの内側にアルミホイルをおきそこにヘッドを並べ
80Wの白熱灯下で4時間加熱します(^ε^)
加熱途中でセロテープ剥がしておくとノリ残りが少ないです。
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接着行程オマケ(KURO)

板に残ったエポキシ接着剤にはティッシュを被せ染み込ませた上で硬化させます。
固まればぺりっと剥がれて次の作業への準備完了なり。
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リシャフト(YASO)

凄すぎる。。。

こうやって、クラブって組み上がるんですね〜!
なんかもっと工業製品的作業だと思ってました。
ここまで魂が投入されれば、持った瞬間に
オーラを感じる事でしょう!
この子達を使って
なんとしても練習場連盟のテスト合格しなきゃですね!
仕上がりがとても楽しみです。

次は写真のホーガンのリシャフト&調整をお願いするつもりです。
こいつは実際KUROさんと一緒に練習場にでも行って
どの番手でどの長さが一番しっくりくるか等々
チェックしながら、、、なんて
楽しそうですよね(笑)
引き続きよろしくお願いいたします。
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リシャフト(KURO)

YASOさん 日常的に当たり前のようにしている作業を公開するのは初めてです。
かなりエッセンスの詰まった内容ですから面白いでしょう(^o^)
実際は食事後、HDDを処理しながらやるので結構早いです。
NEWホーガンは私も実際に打ちながら確認したいと思います。
お任せ下さい。

ソケット粗仕上げ(KURO)

接着剤が硬化したらホーゼルとソケットの段差を削ります。
この為に考案した治具とヤスリがあるのですがそれは特許性があるので秘密(^o^)
川奈ではお見せしますね。
マスキングに使ったセロテープをシャフト保護に巻き、
19mmに切った耐水ペーパー#600に水を付けながらヤスリ目を消してゆきます。
耐水ペーパーは箸箱に入れておくと便利です(^o^)
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ソケット中仕上げ(KURO)

耐水ペーパーに水を付けてソケットを指で挟みながら削れ具合を感じつつ
ヘッドを回転させます。耐水ペーパーの面を小刻みにズラすのがコツ。
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リシャフト(YASO)

いや。

ほんとに楽しいです。。。。

ホーゼルひとつとってもここまで気を使うなんて、、、。

早くボールを打ちたくて

ウズウズしてきました(爆)

そうだ!

このリシャフトの記事を抜粋して

またページ作っておいて

サーバーに保存しておきましょうかね〜。

きっと誰かの役に立つと思います。

まとめ(KURO)

>YASOさん そうですね。
慣性モーメントマッチング方法はまだ知られていないので良い機会でしょう。
よろしくお願いします。


中部遠征の荷造りが終わりました(^o^)
静養がてらリシャフトを続けますね。
いよいよ最後の砦ですv(^-^)v

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MOIマッチング1(KURO)

まずざっくりシャフトを気持ちプラスにカットします。
切り過ぎは延長の手間が増えるので長めに。
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MOIマッチング2(KURO)

グリップエンドの肉厚を計ります。
巻き尺を改造して内長さと外長さから計算します。
ナウヒアさんのストレートグリップは精度良く、きっちり5mm でした。
素晴らしい!
で、自作の5mmスぺーサーを用意します。
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MOIマッチング3(KURO)

グリップと両面テープ相当の重りを乗せてグリップエンドを
5mm空けた時と空けない時の慣性モーメント値を測定します。

今回のPWは2694と2661kg-cm2なので差分33から6.6kg-cm2という事が解ります。
狙い値が2620kg-cm2なので74/6.6=11.2mmのカットが必要という事です。

6mm以上ならシャフトカッターで、それ以下なら回転砥石でカットをし、
測定器にかけては計ってを繰り返し狙い値に合わせ込みます。
±2kg-cm2になれば充分です。

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MOIマッチング4(KURO)

MOIの狙い値は、、、

PW → 2620kg-cm2
53 → 2620kg-cm2
SW → 2580kg-cm2

SWは違いが判る30kg-cm2以上の40kg-cm2としましたが、
実際に打ちながら調整かと思います。

カット後のシャフト重量は、、、
PW → 109g
53 → 109g
SW → 109.1g

流石!NSですかね(^o^)

マスキングに使ったセロテープをグリップ先端狙いで巻き、目印にします。
両面テープを巻いて、気泡を出したらグリップ挿入です。
グリップエンドの穴を塞ぐようにセロテープを貼っておきます。
グリップ挿入時に内圧を上げて入れ易くなります。(溶剤も飛び出さない)
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ソケット仕上げ(KURO)

グリップ挿入後は各種測定をします。

最後はソケットの仕上げ。
ダイソーのマニキュア薄め液を刷毛でさっと塗ります。
乾く寸前でティッシュで磨きあげたら完成です(^o^)
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完成!(KURO)

以上でクラブ慣性モーメントマッチング&リシャフトの完成です(^o^)
ロフトとライは実際に打ちながら調整します。

スペックはこちら
PW ロフト49.5゜ライ61゜ 35.6inch 459.7g D0 347cpm 2620kg-cm2

Tad More53 ロフト52.5゜ライ63゜ 35.4inch 463.1g C9.8 351cpm 2620kg-cm2

SW ロフト57 ライ63.1゜ 35.31inch 457.4g C7.8 352cpm 2580kg-cm2


狙った通りには出来ましたが、YASOさんに合うでしょうか?
YASOさんの感想が楽しみです(^O^)
リシャフトと慣性モーメントマッチングのやり方が解って頂けたでしょうか?
ほぼリアルタイムでしたので作業時間的にも伝わったかな?
これは私流なので随所に業界異端的なやり方を展開しておりますがご了承下さい。

長い連載にお付き合い頂き、ありがとうございました。
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リシャフト(YASO)

KUROさん

ありがとうございました!&ご苦労様です。
今度お店に来た時はカレー&ビール飲み放題で(爆)
この記事は本当に貴重です。
僕とKUROさんのやりとりを抜粋してページ作って
アップいたしますね!
ボールを打つのが楽しみになってきました〜!